しがみつかない幸せ

「しがみつかない生き方」(幻冬舎新書)「くらべない幸せ」(大和書房)。

タイトルに魅かれて、メディアなどでも活躍している精神科医「香山リカ」さんの著作を立て続けに2冊読んだ。特に「しがみつかない」という言葉には、何かしらふかーく心に響くものがあり、数時間で読み上げてしまった。

あひるこの2冊の共通点としては、精神科医として20余年の経験を通して、人々の心の奥底にある声を聴き続けてきた著者が指摘する、現代人の「幸せの価値観」の変化である。印象的なエピソードとしては、「夢が叶うなら、今何に変身したい?」という学生たちへの問いの返答が、サッカー選手や有名人などではなく「鳥、猫、大木!?」。理由は、「人目をきにせず、のんびり自由に生きたいから」らしい。「シュウカツ」「コンカツ」「ジコケイハツ」・・・。小手先のノウハウにどこか踊らされている感がある昨今だから、何かと周りの目が気になり、メディアが作り上げた幸福のシナリオにしがみつくことで安心感を得ているのかもしれない。ここはひとつシンプルに、“生きているということの幸せ”をみつける「楽しく生きる活動=生活(イキカツ)」というしごく当たり前な活動から始めてみるのはどうだろうか?日々失われつつある「肉体的な若さ」にしがみつき、悪戦苦闘している私としては少々フクザツな思いでもある。

女性と健康社 / 福岡 真理子

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